Enterprise Ethereum Invitational Session ブロックチェーンのビジネス活用の未来の可能性 後編

2024年04月24日

イベント概要

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2023 年 10 月に開催した Enterprise Ethereum Invitational Session にて、「ブロックチェーンのビジネス活用においての課題」、「ブロックチェーンの活用でどのようなゴールを目指しているのか」というテーマで討論を行った。

2023 年 4 月に開催された Enterprise Ethereum Stage に参加したメンバーが多数揃い、非常に有意義な討論となった。

前編:Enterprise Ethereum Invitational Session ブロックチェーンのビジネス活用における課題と未来の可能性 前編

ブロックチェーンの活用でどのようなゴールを目指しているのか

石井:前半ではブロックチェーンのビジネス活用における課題について議論しましたが、2つ目の議題は、ブロックチェーンの活用でどのようなゴールを目指しているのか。

このテクノロジーのおかげで、世界が間違いなく変わったといえるものです。例えばアメリカでは 2 年前にはどこにでもあった公衆電話やインターネットカフェが携帯電話や Wi-Fi の普及で姿を消しました。このようにわかりやすい成功の指標は何でしょう?イーサリアムが完全に普及しきったなという状態は例えばどういう状態だと思いますか。

Dan: 成功の兆候、子供たちのために世界はどう変わるのか、そのために人々が理解する重要なこと。その例えを一つ上げて、それから議論を始めましょう。

例えばインターネットです。インターネットの仕組みや機能について、誰も説明できなくても、人々はインターネットを使うと、TikTok のメッセージで人と話したり、自宅から銀行を利用したりすることができることを知っています。もしインターネットがなくなったらどうなると思うかと尋ねると、ほとんどの人は心配そうな顔をします。

ここで質問があります。今から 20 年後、ブロックチェーン技術を使って、世界はよりよくなっているでしょうか。インターネットのような大きな変化は訪れているのでしょうか。

2 つ目の質問、Web2 スタイルのリスクを減らす方法で、成功の証明とは何でしょうか。具体的には グーグル、フェイスブック、ツイッターなどのプラットフォームを使う時、人々はプライバシーを失います。

企業にはビジネスモデルが必要だということは私も理解しています。しかし、企業で働く私たち個人は皆、現実的に世界がより良くなるにはどうしたらいいか、自分の頭で考えて、アイデアを持っているかもしれません。すべての法制度を破壊したり、現在の金融システムを破壊したりすることは現実的ではなく、実現しないアイデアもあるでしょう。しかしその代わりに、いくつかのことが変わったり、良くなったりする可能性はあります。 質問に対する 2 つの回答例をあげましょう。

一つの答えは、例えばフォーチューン 500 社のうちの何パーセントかがイーサリアムを採用すれば、成功と言えるでしょう。

もう一つの答えは、国レベルで測定可能な、生きるために必要な主要サービスの地方分権がどれだけなされているか、という点です。ではこれらについて、思うことを述べてください。

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ダニエル・バーネット| Daniel Burnett
Enterprise Ethereum Alliance エグゼクティブディレクター。著名なウェブ標準化専門家。EEA 理事会、技術ワーキンググループ、分科会、会員コミュニティと連携し、イーサリアムのイノベーションと採用のペースを推進。ブロックチェーンのエコシステムの構築を支援する行動指向のリーダー、ConsenSys ブロックチェーンスタンダードアーキテクトを務め、企業がブロックチェーンの可能性を活用できるようにする標準化に寄与。コンピューターサイエンス博士。 (引用元)
Enterprise Ethereum Alliance Appoints Dr. Daniel Burnett as Executive Director - Enterprise Ethereum Alliance (entethalliance.org)

石井: 1 つ目の質問は、イーサリアム、ブロックチェーンがなくなって困ることはなにか。2 つ目の質問は、今日、存在しない新しいサービスや制度が生まれるのか。2 つ目の質問を少し詳しく説明してください。

Dan: 例えばヘルスケア、宿泊、不動産、光熱費、電気代、水道代などで今まだ存在しない新しいサービスや制度が生まれる可能性についてです。個人として新しいものを生み出す能力、自分のデータを所有する・守る能力、 イノベーション能力。そしてそのイノベーション能力に対して対価を得ることです。

これは最終的に国を測定するランキングにも使われるでしょう。分散化されている国とされていない国。これは世界がどう変わっているのかという点において、フォーチュン 500 社とは全く異なる例です。

稲村: 課題の中で個人情報の話がでました。調査によると日本における個人情報保護意識はまずまず高いといわれているんですが、一方で日本では皆、個人情報をサービスに簡単に渡すのです。この矛盾点はなんなのか、これがまさしくブロックチェーンとの相性の悪さなのですが、日本人っておそらく、個人情報を管理してほしい傾向があり、自分で個人情報をコントロールしたいというところまで考えられてないのだと思います。イーサリアムのような非集権的な原則は、取引の当事者が対等なんですね。双方に同一の情報、あるいは相手が情報を出さないかもしれないということを前提にして相手と取引を行う。ビジネスをしている皆さんには一般的なことだと思いますが、消費者とだけの取引においてはそうではない、という風に他方では考えていて、そこの格差を是正するために、中央集権的な取引が必要だというハードルがあった思います。

その関係でいうと、そのハードルが比較的少ない取引で、且つまだ課題があるとすれば、それはやっぱり企業間の国際的な取引の分野に関係すると思っています。

一つの指標として、国際間の取引においてどのくらいイーサリアムをベースにした、あるいは決済の仕組みと履行の確保、あるいは救済みたいなものが連携したところが、うまく作用する仕組みになると面白いのかなと個人的には思います。特に私は弁護士ですから、事故が起こった時の救済とか、事故が起こらないような予防というところがメインの仕事になるわけですけども、世界中どこの国も法律が違いますから、広域の問題が発生し、準拠法の問題が発生し、どこの誰に判断してもらうか、仲裁をしてもらうか、これはまさしく中央集権ですよね。まさしく中央集権的な権力によって、本来対等であった取引の当事者の障害を消してもらわなきゃいけないという場面が多く起るのです。

ところが純粋にビジネスをやっている者同士なら、取引の相手にきちんと示唆するのは、取引における当然の義務ですし、そこにおいて自分が力不足で、相手のことがわからないというのはもしかしたら受け入れられるのかもしれないが、むしろ仲裁に立つ人が相手に肩入れするんじゃないか、こちらに肩入れしているんじゃないか、という方が気になるのだと思うんです。これがまさしく準拠法だとか、国際裁判官が、おそらくブロックチェーン、特にイーサリアムの中で魅力に感じているのはスマートコントラクトと決済のこと。そういった取引条件や救済の条件というものが、すべてルールではなくて、プロボノの世界でコントロールできる関係になると面白いのかなと思います。

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伊藤: 今、どうなればブロックチェーンの社会実装が進んだ状態だと言えるのかというと、金融においてどういうアライアンスが組まれるかが一番大事ではないでしょうか。仮想通貨取引交換業者がイーサリアムを通貨とみなして、法定通貨と交換するアライアンスを組んだかが重要で、そのアライアンスが組まれた状態を、日本の仮想通貨のお客も正直ウォレットを持っているわけではなく、仮想通貨業所にアカウントを開設しているだけで、仮想通貨業界でアライアンスが組まれている状態を自然に受け入れて、これを一つの金融資産として受け入れているので、このエンタープライズイーサリアムアライアンスのテーマでいくと、まさにいろんな国とか産業のヒアリングが重要だと思っています。

かつ産業分野でかつグローバルでどういったアライアンスが組めるか、仮想通貨取引業界は新興業界なのでこれを成し遂げましたが、他にどういったアライアンスが組めるかが、まさに EEA のような繋がりの中で、国際的に議論することが重要だと思いますし、それが成就したときにひとつ、この EEA の取り組みが成功したんじゃないかと言えると思います。

石井: Dan が言ったように、例えば今トップ企業がサーバーを使ってクラウドで何かすることになったら、AWS を使うのか、GCB を使うのか、という話になると思います。逆にいうと、AWS か GCB がないと、開発ができない、なかったらどうしようもない。 このように、なくてはどうしようもないという状態に、イーサリアムやブロックチェーンがどうやったらなれるのでしょうか。企業間で話してて、イーサリアム使えなくなりました、え!じゃあこれどうしたらいいの!というような未来です。

企業側からすると、現状期待値はあるけど、なきゃいけないわけではありません。通貨に関してもいわゆる代替手段のような位置ですし、ではブロックチェーンが、どうやれば空気のように絶対必要なものになるのでしょうか。これについて皆さんコメントをお願いします。

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ディロロ マルタン| Martin Di Rollo
株式会社スクウェア・エニックス ブロックチェーン・エンタテインメント事業部 テクニカルディレクター。産業・エネルギー業界等で Software Engineer 経歴 10年、Blockchain Engineer 経歴 7年

Martin: イノベーションのシステムを作りたい時に、中央型のシステムが一番手っ取り早く、品質が高い現状です。デベロッパーから見ても、ブロックチェーンは開発コストが高すぎ、ビルダー側から見ても中央型のオープンエンドを使う方が簡単で、手っ取り早いのです。ブロックチェーンでイノベーションを作れるようになったら、皆、使うようになると思います。

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米倉: Martin さんの意見に私も賛成です。私自身も実際にイーサリアム通貨を手がけた際に、イーサリアムファウンデーションのシステムが凄すぎて、コードは書いてくれているものの、とても難しいと感じました。イーサリアムファウンデーションは、一般の人たちに向けて、どういう風にデベロッパーを増やしていくのかを逆にお聞きしたいです。

Dan: 一般の人たちのイーサリアムの価値についての理解が足りていないこと、その対処のために私たちが支援する必要があることは明らかです。実際、イーサリアムのエコシステムやブロックチェーン全般に関する用語や態度が非常に悪く、導入の助けにならないといくつかのグループから聞きました。企業がクラウドサービスを安心して利用できるようになるまでには、実際には何年もかかりました。イーサリアムであろうと何であろうと、このような技術で自社でクラウド・サーバー・インフラを運用・維持することは、ほとんどの企業にとって意味をなさないし、理にかなっていません。

トークンに記載される内容が何であれ、事前に同意した決議は必要ありません。 そこにあるコードが実際に依存しているものを表しており、これは私たちがやるべきことの間違ったコンポーネントだったと思います 。来年私たちがそれを行うべき最も重要なことの一つであるかどうかはまだわかりませんが、それはまた開発者に問題を押し付けることになります。

石井: 例えばゲームで、管理の手間もなく、簡単にできて、デプロイして勝手に動くみたいなプラットフォームにもしイーサリアムがあれば、みんな当然使うでしょう。ではどうすればそうなるのか、この点でご意見ありますか。テストケースや理想のケースを聞かせてください。

坂本(富士通): 例えばグーグルとか Facebook などの大きな企業が、クライアントを管理しているシステムにブロックチェーンが使われることが理想だと考えますが、現実のビジネスでは難しい状況です。

石井: 非中央集権で ID を管理しようとしたら、やはりブロックチェーンになるので、逆にブロックチェーン以外に対抗技術はないということですね。

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高橋 健太| Kenta Takahashi
日立 研究開発グループ サービスシステムイノベーションセンタ 主管研究員。博士。2000年に日立製作所へ入社。以来、生体認証、暗号技術、情報セキュリティの研究開発および事業化、社会実装に従事。近年はデジタルアイデンティティやブロックチェーンへ研究分野を拡大中。東京大学 非常勤講師、客員准教授(2015-2020)、ISO/IEC SC37 エキスパート、市村産業賞(2020年度)、R&D 100Awards(2020年)、ドコモ・モバイル・サイエンス賞(2016年)、情報処理学会 長尾真記念特別賞(2014年度)など受賞。

高橋: 我々日立のシステムを使って、分散型のアイデンティティーの目指す世界観をお話ししたいと思います。

今のブロックチェーンのシステムは何かを分散化しようとする場合、鍵を持っている人がそれぞれ権利を行使できますが、鍵が分散化されているので中央集権のように全体をコントロール出来ない構造になっています。

世界感にアイデンティティーを含めていこうとすると、最終的には人間というファクターが分散して密に入っていかないといけないのではないかと思います。つまり鍵管理、分散の根拠、分散のトラストを押しつけるだけでは少し無責任で、鍵が適切に身体をもった人間にアップロードされているんだというところまでをシステムとして作っていきたいと思っています。

今のユーザーのアクセスチャネルはブロックチェーンにしても web2 にしても、スマートフォンやパソコンなどのデバイスであるため、分散されているようにみえても、エンドポイントや鍵管理は結局アップルやグーグルなどが持っている訳です。

私個人が今取り組んでいるのは、指紋認証とか、網膜認証といった身体自体を鍵とする方法で、そうなれば端末に頼らずに自分の身体ひとつあればシステムに入れる、自分が自分であること、自己主権で証明できる、身体のサインで自分の資産のトランザクションを成立できる、そういう世界観を目指しています。単に分散化していくだけでなくて、インクルージョンシステムを目指しています。難民の方のような、スマホや ID などのツールをすべて没収され、着の身着のままになってしまった場合でも、身体ひとつで自分が誰であるか、ID を証明できるようになるのです。

Dan: どのようになれば成功したと言えるのでしょうか。

高橋: 全世界の人がパソコンやスマホを持っていなくても、誰でもこの web3 のブロックチェーンに参加でき、そして自分が自分であると証明できる。これを全世界で実現することです。

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岩永: ブロックチェーンのイノベーションは 99%ハードルしかなくて、1%可能性があるとすると、透明性であると思います。例えばお金をトレジャリーにいれて、誰もが見られる状態において置くということはこれまでなかったんですよね。お金というのは管理者がいて管理されるものでした。つまりみんなで共通のお金のウォレットを作りましょう、ここにお金を貯めていきましょうという概念がこれまでなかったと思うのです。

ブロックチェーンの可能性について、恩恵を 1 対 1 で受けないものには、とても相性がいいのではないかと思っています。例えば気候変動とか空気とか二酸化炭素とか水などを保全していく時に相性がいいと思います。

日本の国土の 7 割は森林ですが、現状では国が全部杉を伐採してしまうことが中央集権では起こる可能性があり、いわば無法地帯です。森林を企業や個人が保全したり、お金を集めたりするのにブロックチェーンは適用できますし、地域や国境をも跨がなくていいもの、みんなが恩恵を受けるものへの活用には、非常に適しているのではないかなと思っています。

例えば酒屋のおばあちゃんが道路を掃除してくれています。では誰からその対価をもらうのとなった時に、保全のトレジャリーがあって、おばあちゃんが指で押すと、生体認証されてそこからお金が入ってくるといったような具合です。自分の里山を守る、森を守ることが、ビジネスの法則的な循環の中に入ってくるのではないでしょうか。

ここまで進むと素晴らしいですよね。しかし企業の秘匿権益がビジネスの基本になっている中で、非セントラライズのテクノロジーを 100%使おうとするのは難しさがあります。我々にも株主がいて、四半期ごとに右肩上がりになれとプレッシャーを受けています。

ブロックチェーンの素晴らしい可能性があるとすれば、国境とかに恩恵を受けないもの、もしくはそういうものではないもの、人が触れられないトレジャリーの BOX にお金が入っていくことで、この世界を良くしていくことが考えられるんじゃないでしょうか。

デバイスも何もないところでは、自然をよくしていくことにお金を循環させるようなあるべき姿に戻るのかもしれません。

石井: 最近、一巡して地域や地球、気候問題に企業がどう貢献できるかが注目されていますので素晴らしいと思います。

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松尾 潤| Jun Matsuo
NTT Data 技術革新統括本部 技術開発本部 Blockchain CoE のメンバーとして、金融やサプライチェーンの領域を中心に活動中。主に、ブロックチェーンを活用したプロジェクト推進に従事。

松尾: To B のビジネスは独占することで収益を得てきたので、分散が本当に馴染まない構造です。お客様の To B の考え方としては、ブロックチェーンっていうのが流行ってきているから、それを何とか手なずけようという考えで、いずれ来る To C の前に知りたいというような感じでしょうか。

直接的にどういう状況がイーサリアムの普及を提示するかというと、スマホを買って最初にいれるアプリがメタマスクだったりすると To C として定着したと言えるのかもしれません。どこのバーチャルにもつながるハブとして、イーサリアムが存在して、欠かせないものとなるかなと思いました。

河﨑: ブロックチェーンの社会実装を図る尺度は、ウォレットやウォレット的なものがどれだけ復旧しているか、スマホのアプリくらいの割合でみんなが持っていれば、普及しているといえると思います。

それに関してひとつ言っておきたいのですが、視点が少し歴史的な話しになってしまいますが、私の信念としてすべての権利は流動化していくだろうと思っています。もともと保険社会から始まって財産法というのができて、所有権ができて、債権がでてきてと、移り変わってきていますけれども、すべての権利や代価というのは流動化して交換可能になっているというのが一つの世の中の流れです。

私は弁護士ですが、目の前にある様々な法規制があり難しいであろうことを少し置くとして、最終的にあらゆるものがどんどん流動化していくだろうなと思っています。そしてその流動化を実装するための手段は、ブロックチェーンしかありません。それがいつ頃どういう形で起きるのか、その中で自分がどれだけ役割を果たせるのか、それが皆さんのビジネスにどう繋がるのか、まだわかっていませんが、ただ方向性は間違いなくブロックチェーンに向いているとそう確信しています。

Martin: ブロックチェーン =(イコール)すべてのデータが誰でも読める、というわけではないと思います。

エンターテイメントと全然違う話しになりますが、過去私が関係していたフランスの原発関係のバジェットで十数億ユーロの不正がありました。この解決策として、ブロックチェーンが挙げられると思います。ブロックチェーンのユースケースとして、プライバシーが重要になってきます。ヨーロッパの原発に関わる会社はすべて、トリサビリティのサプライチェーンも、オペレーション毎、確認毎、チェック毎に、トランザクションを通して、その事実を記録して、不正を物理的にできなくするという企画がありました。こういった企画はマストオプションではないんですが、とても価値があり、国レベルの重要なユースケースだと思っていいます。一般の方は原発がどうなっているのか、どう動いているのかを知ることはできませんし、原発業界でコードを通して不正ができないという実装をしていると安心できると思います。そういうユースケースを可能にするのは、ハイバリューのトランザクションで守られたプライバシーです。

情報の証拠はブロックチェーン上にありますが、誰とその情報を共有するかは、情報をもっている者が決められます。

世界の共通のバックエンドとして使われるようになれば、誰でも証拠を持ちながら、プライバシーを保てる。そういう機能があれば、ユースケースが生まれてくると思います。産業界は特に時間がかかると思いますが、最終的にできると信じています。

石井: プライバシーコントロールができる分散が、中長期的に、またはある分野で必要になった時に、その実装には時間がかかるかもしれないけど、ブロックチェーンに対抗する技術は他には今はないということを皆さんが感じていらっしゃることがよくわかりました。

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伊藤: 仮装通貨の金融レートは下がっていますけれども、次のマスアダプションとして注目されているのがゲームという流れが去年からきています。

課題ではなく、グローバルにどういうところに可能性を感じるのかをお聞きしたい。

畑: ブロックチェーンが普及したらどういった世界が描けるのかの一例をお話したいと思います。先ほど私はプライベートブロックチェーンの話をさせていただきましたが、パブリックブロックチェーンでも同様に通用する話です。我々は今、デジタルステッカーという、ステッカーを購入していただいたお客様が、ステッカーをデコレーションするサービスです。

お客さんの中で考えているスピード感で、我々と同じブロックチェーンという共通基盤の中でやれるっていう土壌を作ったことは、それまでのゲームの世界にはなかったことだと思います。

通常普通のコンソールゲームだと、手に入れたアイテムはユーザー主導で何かイベントはできませんよね。なぜならパッケージ化されていてメタベースもサーバーも全部コントロールされているからです。でもブロックチェーンであれば、チェーン上で、ユーザーと我々が管理する異なる領域を作ることができているので、その領域内で楽しめることを考え、実践をして、そして経済も回せます。イベントでバーンすると、マーケットプレイス上の我々が提供しているフロア価格が上がります。またユーザーがフロア価格が下がることに対して悲観的になるのではなくて、我々がそれを上げてやろうじゃないか、というところから調整するっていうことを日々やってくれていて、それができたのは、ブロックチェーンだからできたという一つの事例ではないかと思います。

Dan: 何かを作成するのに許可は必要なく、事前の取り決め、事前のパートナーシップ契約などは必要ないことは先ほどお話しました。航空会社のマイレージマイルについて考えてみると、航空会社は、あなたが保持できる相手と、または 1 ヶ月間保持できる相手と個別のパートナーシップ契約を結ぶ必要があると思われますが、この種のテクノロジーの利点の 1 つは、ユーザーがマイルを使用するかどうかに関係なく、ブロックチェーンを使用するか、NFTs を使用することによって、よりオープンなマーケットプレイスができるようになります。私が生成したものを使用して顧客が作成したすべての価値をキャプチャしたいところですが、多くの場合、オープン化を許可することで、最終的にはより多くの価値が得られます。私とパートナーシップを築く必要はありません。新しいものを作るために誰かに許可を得る必要はありません。

明らかに規制当局が重要な目的や個人を保護するための規制もありますが、この種のイノベーションが構築され、利益を得た素晴らしい例だと思います。

ゲームはこの種のイノベーションの良い例です。例えば tiktok などのコミュニティがある場所ならどこでも、個人のコミュニティが存在しますよね。コミュニティこそがレンズが登場した理由です。eBay のアイデアは、プラットフォームがディストリビュータであった場合に正しく生成するために取り組んできた社会的基盤を維持できるということですが、あなたがいなければそれは決して起こらなかっただろう、なぜならあなたはその中にいるから価値があるので、社内で物事がどのように価値があるのかを考えてみると、チャンスがあると思います。以前はプライベートで自分だけのものだったのに、もう提供されなくなることがよくありますが、それが自分にとってどのような価値があるのかを考えてみると、チャンスがあると思います。

Martin: ゲームにおいてユーザーが手を加えられることは、同時にゲームの面白さが減少してしまう可能性も含みますので、絶妙なバランスが必要で、エンターテイメントを作る者は様々な可能性を考えなければいけないという課題であり、チャレンジです。

石井: そうですね、ユーザーと企業側の境目がなくなって自動的に協力できるシステムのようなものはブロックチェーンの一番強力な魅力であり特性ですよね。顧客がクリエイターの企画を、面白さのパラメーターとか、バランスは完全に認め合うと壊れてしまう可能性があって、ブロックチェーンゲームにおいてはじめからの意図ではなかったけれども、客観的にみると、悪意があるように見えてしまうといった辺のジレンマがありますね。

ブロックチェーンの可能性について他にご意見ありますか。

石井: 皆さん、ディスカッションありがとうございました。最後に Dan、お願いします。

Dan: 私はここに参加してくださった皆様にありがとうとだけ言います。あなた方の抱えている実際の課題を直接お聞きするのはとても役に立ちます。またカンファレンスの機会があれば、なぜブロックチェーンを世界で使用したいのか、その課題について、あなた方の知らなかったことや、違った意見を聞く機会になるでしょう。

将来的には本当に素晴らしい結果につながる可能性があるので、20 年後、30 年後に人々がブロックチェーンを日常的に使用しており、その他の方法を使ったらびっくりするような日が来ると願っています。紙で手紙を送るのですか?インターネットがあるのに?といったように。

私たちの中の誰かたった 1 人でも、2 人でも、その未来に到達することを願っています。今日は貴重なお時間をありがとうございました。

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